
ツーリングに出かけて一番心が躍る瞬間はいつでしょうか。絶景を見つけたときや美味しい食事にありついたときなど様々ありますが、対向車線を走ってくる見知らぬライダーと挨拶を交わす瞬間こそが醍醐味だという方も多いはずです。いわゆるヤエーと呼ばれるこの行為は、お互いの安全を祈りつつバイク乗り同士であるという連帯感を確認し合える素晴らしい文化です。
とくに、こちらが手を振ろうとしたタイミングで相手も同じように手を挙げてくれたり、カーブの途中で難しい体勢ながらも頭を下げて挨拶を返してくれたりしたときは、ヘルメットの中で思わず笑顔がこぼれてしまいます。一期一会の出会いが完璧なタイミングで噛み合った瞬間の高揚感は、何物にも代えがたい喜びがあります。そんな最高にハッピーな気分になったときに、インカムから流れてきてほしい楽曲について考えてみました。挨拶が決まった直後のテンションをさらに押し上げ、その日一日を幸せな気持ちで走り続けられるようなナンバーをご紹介します。
一瞬の交錯が生む奇跡のような連帯感
広大な道路の上で対向車線のバイクとすれ違う時間はほんの数秒しかありません。そのわずかな時間の中で、相手の存在に気づき、アクションを起こし、相手もそれに反応するというプロセスは、まさに奇跡のようなコミュニケーションです。お互いに顔は見えなくても、同じ風を感じて走っている仲間であるという意識がそこには確実に存在しています。
とくに北海道のような広大な直線の道や、天気の良い休日の山道などでヤエーが連続して決まると、まるで世界中のライダーと友達になれたような万能感すら覚えることがあります。ソロツーリングで少し心細さを感じているときなどは、たった一度のピースサインが心の支えになることさえあるのです。言葉を交わす必要はなく、ただ手を挙げるだけで心が通じ合う感覚はバイク乗りだけの特権と言えるでしょう。そんな温かい気持ちに包まれたときには、やはりポジティブでエネルギーに満ちあふれた楽曲が似合います。小難しい歌詞や複雑なメロディではなく、直感的に心が弾むようなビートの効いた音楽が、エンジンの鼓動と重なって最高のハーモニーを奏でてくれるはずです。
手を挙げた瞬間の高揚感を増幅させるサウンド
ヤエーが成功した瞬間の気持ちを音楽で表現するならば、突き抜けるような爽快感とリズム感が不可欠です。相手が遠くに見えてからすれ違うまでのドキドキ感と、挨拶が成立した後の「よし!」という達成感。この一連の流れをドラマチックに演出してくれるのは、アップテンポなロックナンバーや疾走感のあるポップスです。
たとえば、サビの部分で掛け声が入るような曲や、拳を突き上げたくなるような力強いリズムの曲は、ハンドルから手を放して挨拶をする動作と非常に相性が良いです。挨拶をした余韻が残っている間にサビが訪れ、自分自身のテンションが一気に最高潮に達するような展開の曲であれば、その後のライディングも軽快になること間違いありません。逆にスローバラードや悲しい曲が流れてしまうと、せっかくのハッピーな挨拶の瞬間が少しセンチメンタルな思い出になってしまうかもしれません。もちろんそれも悪くはありませんが、やはり挨拶が決まったときは、ヘルメットの中で大声で歌いたくなるような明るい曲のほうが、その場の空気感には合っているといえます。風切り音に負けないくらいパワフルなボーカルの声が、見知らぬライダーとの一瞬の交流を鮮やかな思い出として記憶に刻み込んでくれるでしょう。
完璧な挨拶の余韻に浸れる名曲たち
具体的にどのような曲がこのシチュエーションにマッチするのか、実在する楽曲の中からいくつかピックアップしてみましょう。
B’z / ultra soul
まず外せないのがB’zの「ultra soul」です。この曲の最大の魅力は、なんといってもサビの最後に訪れる掛け声です。対向車が見えてきた段階でイントロが始まり、近づくにつれて徐々に盛り上がり、すれ違いざまに手を挙げるアクションと同時に「ウルトラソウル!」と叫ぶことができれば、これ以上ないほどのアドレナリンが放出されます。まるで自分がミュージックビデオの主人公になったかのような錯覚さえ覚えることでしょう。
Queen / Don’t Stop Me Now
次に提案したいのが、Queenの「Don’t Stop Me Now」です。タイトル通り、誰にも止められないほどの勢いと楽しさが詰まったこの曲は、連続してヤエーが決まっているときの無敵感を象徴するのにぴったりです。フレディ・マーキュリーの伸びやかな歌声と軽快なピアノの音色は、晴れた日のツーリングロードをより一層輝かせてくれます。空の青さと新緑の鮮やかさが目に飛び込んでくる中でこの曲を聴けば、生きている喜びを全身で感じることができるはずです。
サンボマスター / 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
そして最後に、サンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」もおすすめの一曲です。熱苦しいまでの情熱的な愛と平和を叫ぶこの曲は、見知らぬライダー同士が道を譲り合い、挨拶を交わすという平和的な行為のバックグラウンドミュージックとして非常に優秀です。理屈ではなく感情でぶつかってくるサウンドは、ただバイクが好きだという共通点だけで繋がれるライダーたちの純粋な心と共鳴します。挨拶が返ってきた瞬間の「ありがとう」という気持ちを、この曲が代弁してくれるような気がしてなりません。
これらの曲をプレイリストに入れておけば、いつもの道ですれ違うライダーとの挨拶が、より一層特別なイベントへと変わっていくことでしょう。
