運転中はアップテンポの曲より悲しい曲がおすすめ
運転中のお供に音楽を聴く人は多いが、音楽の種類によって運転中の集中力やストレス耐性が変わってくることをご存じだろうか。
車やバイクによく似合う音楽といえばアップテンポでノリのいい曲がイメージされるが、実はスロウでダウナーな悲しい曲の方が良い効果があることがとある調査研究で明らかになったのだ。
その調査研究とは、自動車メーカーのフォードと音楽配信サービスのSpotify、加えてニューヨーク大学が共同で行ったものだ。
その結果によると、悲しい音楽ほど朝の憂鬱な通勤を楽しくさせ、これから仕事に向かうエネルギーが湧いてくるとのこと。
つまり悲しい音楽を一日の最初に聴くと、エネルギーにあふれた生産性の高い日を過ごせる確率が高まるのである。
なぜそうなるのかというと、悲しい音楽によって自分の過去の苦しい経験が想起されることが一因と考えられている。
過去に苦しい経験をしたとしても、それを克服したからこそ今こうして元気でいられるわけだ。
また、その経験から人生に役立つさまざまな学びも得られたのではないだろうか。
悲しい音楽によってそういったことが思い起こされ、その結果、自分自身に対して肯定的な気分になれるという仕組みである。
運転に与える音量とテンポの影響
逆に、聴くだけで楽しいアップテンポの音楽は、運転に悪影響を与える恐れがある。
音量とテンポに合わせるようにスピードを出したくなり、より危険な運転になりやすいからだそうだ。
一方、自分の鼓動のリズムに合うようなゆったりしたテンポの音楽の場合、ドーパミンが放出されて穏やかな気分になり、ゆったりした心拍数で安全運転に集中しやすくなる。
というわけで、運転中に心を落ち着かせたいときは、なるべくスロウな悲しい音楽を聴いてみてはいかがだろうか。
自分のおすすめは、Norah Jonesの『Come Away With Me』だ。
この曲は、彼女が2002年にリリースしたデビューアルバム『Come Away With Me』に収録のタイトルトラックである。
2002年の1年だけで世界1,000万枚以上というビッグセールを記録したアルバムなので、聴いたことがある方も少なくないだろう。
このアルバムが発売された当時は、アメリカの同時多発テロ事件からわずか数か月という悲しみの癒えない時期であり、特にアメリカの人たちは刺激的なアップテンポの音楽を聴ける気分ではなかったという。
そんな時に、Norah Jonesの優しくて温かな心に滲みてくるような歌を聴いて励まされたという人は少なくない。
音楽で悲しみを癒やしたいとき、また、不安を軽くしたいときなど、そんな気分になるときは誰だってあるだろう。
そんなときはぜひ運転しながらでもNorah Jonesの『Come Away With Me』を聴いてもらいたい。